我が天下

我が天下 物語第一章 朧げな夢

その1

主君、やっと勝ちました・・・。

なんか顔色悪くないか?

長い戦いでした・・・血と矢の雨の中で、たくさんの兵士と将を失い、やっと天下統一がなされて・・・。

ただ、叫びと剣戟の響の中で、知らない記憶が脳を過ぎって・・・あれは、子供の頃の・・・。

子供の頃?

よく・・・思い出せません・・・。

小玉・・・ ・・・

その2

はじめて父に会ったのは・・・戦場って、父が教えてくれました。

戦場に・・・。

戦場の方向から裸足で歩いてきたって・・・。

泣くことも騒ぐこともなく、全身血だらけですが、傷はありませんでした・・・ただ前に向かって呆然と歩いてただけっと・・・。

そう・・・。

その3

良く夢を見るのです・・・同じ夢を・・・。

同じ夢?

子供の頃のことみたいで・・・ボヤけていて、女の人が二枚の玉を持ち、一本の茎に二輪の蓮の花の模様があり、一枚は私・・・。一枚は・・・知らない女の子に・・・。

それを実際に持っているのか?

いいえ・・・
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